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M&Aのメリット・デメリットは?IT企業M&A専門家が解説

目次

1.【売り手側】M&Aのメリット・デメリット
1-1.メリット
1-2.デメリット(留意事項)
2.【買い手側】M&Aのメリット・デメリット
2-1.メリット
2-2.デメリット(留意事項)
3.従業員への影響
4.取引先への影響
5.M&A仲介会社を使うメリット・デメリット
6.M&Aの成功事例
7.まとめ

【売り手側】M&Aのメリット・デメリット

M&Aによって会社や事業を第三者に譲渡することで、黒字廃業を免れ従業員の雇用や取引先を守れたり、従業員の給与などの待遇を改善させたりすることができます。また、より事業を拡大させる成長戦略という側面もあり、戦略的にM&Aを行うケースも非常に増えています。

1.メリット

①事業承継問題の解決

近年日本では少子高齢化の影響を受け、経営者の年齢も年々高齢化しています。
経営者の平均引退年齢である70歳を迎える中小企業の半数が後継者についての方針が決まっていないと言われています。
しかし「家族には事業を継がせたくない」「かといって社内に適任もいない」等の理由で後継者が見つけられず、経営は黒字ながら廃業を余儀なくされる会社も多く、2025年までに600万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があると言われています。

そこでM&Aを活用し事業を第三者に譲り渡すことで後継者不足問題を解決することができ、事業だけでなく従業員や取引先も守ることができます。

②雇用維持・取引維持

①でも述べたように、M&Aを用いて廃業ではなく第三者への事業売却で事業を継続させた場合、現在いる社員の雇用や取引先の事業を守ることも可能です。

通常、事業が廃業した場合従業員は解雇されることになり、次の就職先が見つかるまでは給与など一切の所得がなくなり、生活にまで影響が及びます。
また、取引先も廃業によってそれまでの取引がなくなり、今までの事業を続けることができなくなります。
結果これらはその従業員の家族や、取引先の顧客にまで波及します。

廃業ではなくM&Aによって事業を売却した場合、このような負の連鎖を食い止めることができます。

③経営者の責からの解放

今後自分が引退した際に事業を誰に承継するのか、また自分にもしものことがあった際に会社はどうなるのか、働いてくれている従業員、贔屓にしてくれている取引先はなど経営者は常に悩みがつきません。
最近ではコロナ禍で廃業しないように必死に耐え、経営に疲れた経営者も多くいます。
M&Aによって事業を売却することでこうしたプレッシャーから離れ、リタイア後の生活をのびのびと過ごすことができます。

一方で、事業売却後も会社に残るケースもあります。そういった場合でも、経営のパートナーが増えることで以前よりも負担が分散され、経営がしやすくなるというメリットがあります。

④事業の成長・発展

M&Aは事業承継という側面だけでなく、大手企業にグループインし、事業の成長・発展を実現させるという側面もあります。
この場合、M&A後も会社は今の形態のまま存続させ、大手企業のグループ子会社として事業拡大を目指すことになります。
大手グループの傘下に入ることで大手企業のもつ顧客基盤や開発体制を活かし、単独では不可能だった方法で事業を成長させる事が可能になります。

弊社が得意にしているIT領域のM&Aでは特にこのような事業成長型のM&A案件を多くお手伝いさせていただいております。

⑤採用力の強化

廃業を検討していない経営者の方にも採用力の強化というメリットがあります。
事業が伸びてきて顧客の数は増えているのに「人手が足りていない」という悩みを抱えている経営者の方も多くいます。
M&Aによって採用業務を買い手企業に巻き取ってもらったり、大手企業のネームバリューを活用することで採用力をアップすることも可能です。

2.デメリット(留意事項)

①買い手による雇用・労働条件の変更、従業員の離職

M&A後に買収された企業の従業員が待遇や勤務地、仕事内容や業務量の変更、最悪の場合リストラされるというリスクがあります。
従業員の雇用を守るはずが、従業員の待遇悪化によって従業員が離職するという可能性もあります。
また会社に愛着のある社員は買収されることでモチベーションが低下することもあります。

このような事態を避けるために、経営者から従業員への説明をしっかり行いケアを行うことや、売却の条件に従業員の待遇を盛り込むことを検討することも重要になります。

②思っていたほど会社に価値がつかない可能性がある

M&Aではその事業の将来性が、会社の価値を算定するにあたって重要な要素の1つになります。
そのため、現在好調な事業も将来性が見込めないとされれば思ったような価値が出ないということが懸念されます。

また「DD(デューデリジェンス)」の際に簿外債務などが見つかった場合は、その簿外債務の大きさに応じてマイナス評価される可能性もあります。

③買い手企業との融合が上手くいかない可能性がある

社風が異なる企業が一緒になるため、両者の間で企業文化の融合に時間がかかり社内が混乱する可能性もあります。
また書類の手続きや社内システムの変更・統合に手間がかかり、各部門の担当者に大きな負担がかかることもあります。

④取引先との関係が悪化する可能性がある

M&Aで別の企業の傘下になった際、取引の内容に変更が生じることがあり、その内容によっては取引先との関係性に影響を与え、最悪の場合取引が中止になる可能性もあります。

⑤自由に決められない範囲の事項が出てくる

子会社化することで、それまで単独でできていたことも、子会社の持つ権限の中で行うことになります。そのため、事業に制約が生まれる可能性もあります。

2【買い手側】M&Aのメリット・デメリット

M&Aで企業を買収することでスピーディーな事業参入やビジネス規模の拡大が見込めます。

2-1メリット

①時間的コストを抑えた新規事業参入

買い手の企業はM&Aによって売り手の企業が保有する不動産や設備などの有形資産だけでなく、技術やノウハウ、取引先、顧客基盤、流通網といった無形の資産を取り込むことができます。
このように既に事業基盤が形成されている企業を買収することで、1から事業を成長させるコストを大幅に削減しながら、新規の事業に参入することが可能になります。

②既存事業の強化

売り手企業がもつ優秀な人材などのリソースを用いて、既存事業の外部に委託していた部分を内製化することができ、自社の競争力をより強化し既存事業を拡大することができます。

③ビジネス規模の拡大

持続的な成長維持には事業の拡大が欠かせません。ビジネス規模が拡大することで生まれるメリットもあります。
例えば、取引量が増えることで取引先への交渉力も高まり、コストダウンにつながります。設備や人材稼働率の向上、シェア拡大やブランド力の向上も見込めます。

2-2デメリット(留意事項)

①期待したシナジー効果が出ない場合がある

M&Aをする際、事前に買収後どのくらい利益が見込めるかどのようなシナジーが生まれるかを想定します。
ですが実際にM&Aをしたのちに「思ったより売り上げが伸びない」「生産効率が上がらない」という、事前に想定していたシナジーが実現できない可能性があります。
また事業規模の拡大によって、想定されていなかった固定費がかさみ、本業にマイナスの影響が出る可能性もあります。
こういった事態を避けるために買い手企業はしっかりとした調査やDDを行い事業の正当な評価をする必要があります。

②許認可を承継できず事業を継続できないおそれ

買収対象の企業が行う事業に、事業の許認可が必要である場合は事前に許認可の引き継ぎが問題なくできるかを確認しておくことが必要です。
この許認可を引き継ぐことができない場合、買収したにも関わらず事業継続ができないという事態に陥る可能性があります。

③買収金額が高すぎて、投資した利益を回収することができない

買収を行う際、買収金額は売り手企業の「事業統合後のシナジー」「ブランド力」「所有している技術」などの「のれん代」をもとにして決められます。
また買い手企業の候補が複数いる場合、競争になり買収価格が高くなりがちです。
「のれん代」は年々減価償却する必要がありますが、M&A後に想定していたより利益が伸びない場合、のれんの償却により利益がマイナスになることもあります。

④買収先の従業員のモチベーションが低下してしまう可能性がある

売り手企業の従業員がM&A後に待遇の変化や業務内容の変更によってモチベーションが低下し、最悪の場合、離職してしまう可能性もあります。
このような事態を避けるために、買収先の従業員が不満を抱くことはないか、また抱くような場合どのように改善できるかを、買収先の経営者に密にヒアリングしコミュニケーションをとり、検証する必要があります。(基本的には買収が完了するまで買収先の従業員と接触することはできません。)
また買収先企業のキーマンがリーダーシップを発揮できるような環境を整えることも重要になります。

3.従業員への影響(従業員へのメリット・デメリット)

M&Aを行うことで従業員には待遇の改善や自身のキャリアアップなどのメリットが生じます。

3-1 メリット

①福利厚生制度の拡充(待遇がアップする)

M&A後の従業員の福利厚生は買い手企業によって決められます。一般的に、買い手企業の福利厚生に合わせることが多く、売り手企業の従業員の福利厚生が拡充する可能性もあります。

②新たなキャリア形成に繋がる

社員は親会社が持つ大型案件や新規事業に参加する機会ができることで、自身のキャリアアップに繋げることが可能です。
また売り手・買い手企業双方が一緒の環境で働く機会が増えることで、優秀なメンバーと働く機会も増え、お互いに良い刺激が生まれ、より意欲的に働く動機付けになるという効果も見込めます。

3-2 デメリット

①買収後に従業員の待遇・評価が低くなる場合、不満に感じる

買収後に待遇が改悪される場合、待遇に関して不満を抱き始める社員が現れるという可能性もあります。
それを防ぐために「事前に売り手買い手企業間で条件のすり合わせを綿密に行う」「M&A後も従業員のヒアリングなどコミュニケーションを欠かさない」ことが重要になります。

②売り手企業の従業員が買い手企業のルールに合わせることに不満

売り手側の企業が、子会社として独立的に存続せず吸収合併となる場合、売り手企業の従業員は買い手企業の従業員になります。
その場合、必然的に社内制度や文化などを買い手企業に合わせる必要があります。合流先の会社のルールによっては不満に思う従業員が現れる可能性もあります。

4.取引先への影響(取引先へのメリット・デメリット)

4-1 メリット

①満足感の向上

M&Aを行うことで、事業が拡大しそれまで取引していた商品の品質が上がったり、商品のラインナップが拡充することがあります。取引先はサービス品質の向上や拡充が期待でき満足度が向上します。

②事業存続による取引の継続

もしM&Aをせず廃業という選択を取った場合、取引先はそれまで行っていた取引が終了してしまうことになります。
そうなると、取引先としても事業が行いにくくなることが想定されます。M&Aを行うことで事業が継続し、結果として取引先にも安心いただけることになります。

③信用力の向上

売り手企業は大手企業に買収されグループに入ることで、大手企業の信用力を得ることができます。これによって取引を拡大する際にも優位になります。

4-2 デメリット

①取引の条件が変更される可能性

買い手企業の意向によって、それまでの取引の内容が変更される可能性もあり、条件によっては関係性の悪化を招きます。

②製品名の変更(リブランディングされる可能性)

買い手企業の意向によって、それまでの製品やサービスの名前が変更されたり、リブランディングによってパッケージが変更されたりする可能性もあります。
これによって売上が減少したり、顧客が離れることにも繋がります。

5.M&A仲介を入れるメリット・デメリット

M&Aを行う際、M&A仲介会社を用いるメリット・デメリットについてもご紹介したいと思います。

5-1 メリット

M&A仲介会社ではM&Aを検討する初期段階から、会社の創業した経緯や今までの歴史、今後の展望などをつぶさにヒアリングし、売り手企業様のM&Aに関するニーズを尊重し交渉を進めていきます。
仲介会社を挟むことで、お互いの主張を尊重しながら、感情的にならないスピーディーな交渉を行うことができます。
相手企業の発掘やシナジーが発生するかなどの見極めも行うのでM&A後の不一致なども回避することが可能です。
またM&Aに必要な書類の作成や相手企業との交渉など複雑で専門的な手続きを、仲介会社に頼むことで成約まで包括的なサポートを受けることができます。

5-2 デメリット

仲介会社に支払う中間金や成功報酬など金銭的なコストがかかります。ただしこれは仲介会社によって金額やその有無、支払いのタイミングが異なります。例えば大手M&A仲介企業の場合、最低報酬でも2000万円以上と高額な報酬が発生します。
またM&Aの成果は契約を結んだ仲介会社の実力に大きく依存することになります。
仲介会社も数多くありますので、その仲介会社の専門外である分野の場合、思ったような結果が得られない場合があります。

5-3 エイジィを選ぶメリット

当社・xxx株式会社(エイジィ株式会社)は、創業から一貫して「IT領域M&Aのプロ」としてM&Aのご支援をさせていただいている、M&Aアドバイザリー企業です。
SaaS(Software as a Service)をはじめとするITサービス領域、SES(System Engineering Service)やSI(受託システム開発会社)、スマホアプリ運営会社、WEB・デジタルマーケティング領域、メディア事業譲渡などの幅広いIT領域のM&A成約実績が豊富にございます。
M&Aを取り扱う企業は多数ございますが、当社はその中でも、どこよりも詳しくIT業界のM&Aに精通しております。
創業間もないスタートアップのM&A、急成長中企業のM&A、老舗IT企業のM&Aなど、それぞれのフェーズにあったスキームでご提案させていただきます。

ご関心のある方は、是非一度下記のリンクよりご面談のお申し込みをお待ちしております。
専任担当者が秘密厳守にて対応いたします。

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6.成功事例

①AIS様×テモナ様

サブスクリプションビジネスに特化したBtoC事業者向けクラウド型システムおよびサブスク事業者支援サービスを提供するテモナ様が、リピート通販の領域に特化してWebマーケティング関連の各種業務を展開するAIS様を子会社化しました。

このM&Aによってテモナ様からの送客によるAIS様の新規受注が相次いでおり、事業シナジーの創出が実行されております。

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②侍様×夢真ホールディングス

夢真ホールディングス様が社会人向けプログラミング学習サービスや自社メディアを展開する侍様を子会社化しました。

このM&Aによって社会人向けプログラミング学習サービス受講者の就業先の確保という課題を夢真ホールディングスグループの顧客基盤を用いることで解決し、利用者の満足度の向上を実現できる形となりました。

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③C2様×サイバーダイン様

IoT、ロボット、AI技術による独自の「サイバニクス技術」を用いて、ヘルスケア領域(医療、福祉など)の事業を行うCYBERDYNE様が、ヘルスケア領域のITスタートアップで、睡眠領域に特化したサービス「熟睡アラーム」を提供するC2様を子会社化しました。

このM&Aにより、C2様がサイバーダイングループに加わることで、すでにある顧客基盤を生かした更なるデータ活用、ヘルスケア領域での事業加速につなげていく計画です。

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7.まとめ

M&Aを行うことで好調のまま廃業することを防ぎ、経営者のみならず従業員や取引先にも良い影響があります。
また売り手買い手企業ともに事業拡大の戦略としてM&Aを活用するケースも数多くあります。

しかし、統合後に想定されていたシナジーが生まれない可能性もあるため「事前に入念なDD(デューデリジェンス)を行う」「信頼できるM&A仲介会社に依頼する」といったことが重要になります。

当社ではIT領域の事業者様のM&Aをお手伝いしております。
「M&Aを検討している」「1度相談してみたい」等、M&Aに少しでもご関心のある方は下記のリンクよりお問い合わせください。

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